以前から私は、夢 (願望) として、
≪70歳で3000m級の山(複数座)の天辺に立つ事(出来たらいいな~)≫
と公言してきた。
その70回目の誕生日を今年春に迎え、具体的な計画を立て始めた。
その一座である【槍ヶ岳】の天辺に立つ事が出来た。
以下はその顛末記。
上高地のバスターミナルに着いたのが7月29日の15時過ぎ。
遭難者の慰霊塔におまいりして、入山届け、山岳保険の手続き。
夕方、明神の嘉門次小屋に到着。
夕食後の談話で130kmの縦走を終えた人の話、くさり場からの滑落事故を目撃通報したとの事。
慎重な行動をしなければと、改めて身を引き締める。
2日目は、ユックリとした行程で昼過ぎには、槍沢ロッジに到着。
3日目、7月31日、ロッジを計画より1時間早い6時に出発。
いよいよ槍の天辺を目指して本格的な山歩き。
雲ひとつ無い空、いわゆる「ぴーかん」。
ここから槍の天辺まで、ひたすら登りだけのコース。
天狗原分岐(下の)までは、計画より1時間速く到着、天狗池から来た登山者に天狗池の状態を聞く。
池に水があり【逆さ槍】も見られたとの情報、帰路は天狗原経由に決めた。
しかし、ここからが大変だった。
坊主岩小屋に着いたのが、計画より40分遅れ。 1時間40分も多く掛かっている。
山荘はかなり下から見えてはいるのだが、ここで、初めて槍の穂先が視界に入ってきた。
登山道はここから、一層急登になる。
足がなかなか進まない、槍の雄姿が前に後ろに・・・。
ジグザグの道を牛歩、否カタツムリの如く。
約2時間かかり、13時45分槍ヶ岳山荘に・・・計画より1時間20分遅れ。
部屋にザックを下ろしカメラを持って、テラスに出る。
穂先への登りは渋滞している。
暫く休憩してから・・・と、まずは喉を潤さなければ脳が承知しそうも無い。
こんな高いところでの生ビールは最高の味。
家人に【槍の肩】まで到着した事を報告・・・稜線は携帯が繋がる。
明日でもと思っていたが、空いてきたので・・・。
槍ヶ岳 頂上の祠 |
7月31日15時25分標高3180mの≪槍ヶ岳の天辺≫に立った・・・。
否、立てた・・・この気持ち・・・。
感動している・・・この震えは寒さだけではなさそうだ。
そして前回(6年前)は見られなかった富士山がくっきりと。
夕食後に、夕日と茜に染まる空を楽しむ。
月が明るすぎる・・・星空はあきらめ、20時前には布団の中。
朝までぐっすり、満足と興奮と疲れで爆睡した。
4日目の8月1日、3時30分に目を覚まし外に出た。
下界では考えられない時間に、東の空はもう茜くなりはじめている。
ご来光を見ようと、登って行く人のランプの光がちらちらと・・・。
いそいでカメラを取りに・・・他の人はまだ寝ている。
半袖のTシャツの上に長袖のシャツを羽織ったがそれでも少し寒い。
テント場の最前列の岩場に陣取る。
今回も三脚を持って来なかったので、岩に特製枕を置きカメラを固定する。
前回はガスが掛かり写せなかったご来光、その瞬間を待つ。
周りには大勢の人がカメラを持って・・・・。
朝食を済ませ、弁当を受け取り6時30分に出発。
今日は、3000mの稜線漫歩としゃれ込んだ。
しかしアップダウンはきついし、ハプニングも・・・。
ご来光を写したテント場を抜け大喰岳(おおばみだけ)へむかう。
飛騨乘越(ひだのっこし)まで急な下り、笠ヶ岳が朝陽に輝いている。
ハプニングその① カメラ
笠ヶ岳をパチリ・・・保存中にOFF・・・慌てて、ONに・・・。
保存中の表示が消えない、何度繰り返しても消えない。
もちろんシャッターも下りない。
飛騨乘越まで降りて、カードを変えても同じ、ONにしたまま大喰岳まで・・・。
高低差約100mの急登を50分かけて頂きに。
しかし状態は同じ、保存中の表示。
再度カードを換え、ON,OFFを繰り返すも同じ。
カメラが使えないとは、情けない。
最後の手段と思い、バッテリーを一旦抜き再度入れる。
治った~・・・・よかった~。
カードも無傷、これでまた楽しめる。
この大喰岳の標高が3101m、これで目標の複数座を達成した事になるのだが。
後刻、この稜線で出遭った方々に、頂上までは・・・と尋ねすると。
中岳?(南岳?)という事なら・・・あと少しです。
という答え・・・という事はこの稜線の山に名前は付いているが、単なるピーク・・・?
では、私もこの稜線の3座を含めて、槍ヶ岳と考えよう・・・・。
大喰岳、面白い名前が納得できた出来事があった。
私が着いた時に、若い男性が1人、私の後から、男女の2人連れ。
この2人が、男性にシャッターを頼んだ。
手を繋ぎお互いに弓なりになって、2人の間に槍ヶ岳を入れるという構図。
男性:ユニークな撮り方ですね。 女性:山を食べた事も・・・。
この一言で、男性は槍ヶ岳を食べる事を考えたらしく。
口を開けるので、槍ヶ岳を食べている様にと、依頼された。
大喰岳の道標と槍ヶ岳と男性の大口、本当に槍ヶ岳が食べられている。
槍ヶ岳を喰らっている様に見える事から、この名前が付いたのかな・・・。
雷鳥 |
そして2つ目のピーク中岳に向かう、ここからは稜線漫歩の愉しい歩き。
足元の斜面には、まだ雪が残っている、その向こうに富士山が雲海に囲まれている。
ハプニングその② 雷鳥
歩くこと約30分、雪渓に鳥が居る、岩雲雀?と思いレンズを向けるも、
動きが早くてアップで撮れないので早々に諦めカメラをしまい、歩き出す。
5,6分歩いて足元を確認しようと目を落とすと、何か黒いものが・・・・。
雷鳥の雛、その先を追うと親鳥が居る。
急いでザックを下ろし、カメラを取り出した、焦りと太陽光でモニターが見づらい。
何とか撮影できた、しかも白い雪田をバックに黒い夏毛の親鳥が・・・・
出遭えるとは思っていなかった雷鳥、撮影まで出来た。
中岳の頂上に着くと、槍ヶ岳と高さを競うように沢山のケルンがあった。
私も小石を1つ加えて、その記念とした。
そして長い岩場の下りの底には、水場。
喉を潤す。
喉を潤す。
南岳までの長いダラダラした登りに備えて休憩し、家人への連絡。
ハプニング③ 携帯電話
そのダラダラした登りを歩行中、足元にケースごと携帯電話が落ちた。
原因はケースの糸が切れてバンドから外れたのだ。
これが岩場とか、傾斜のきつい所だったらと思うと・・・。
とにかく回収可能な所でよかった。
天狗原分岐(上の)を確認して、南岳の頂上に・・・。
今回の稜線漫歩で唯一三角点のあるピーク。
笠ヶ岳の姿が美しい、だが今の光ではと撮影はスルー。
明日の日の出時の撮影ポイントを確認して、小屋へ。
12時前に南岳小屋に到着しザックを置き、
槍ヶ岳山荘の弁当を・・・外で食べようと思ったが、
日陰が無く止む無く、小屋の中で・・・もちろんビールも、ここは生が無かった。
昼食後に、大キレットを展望できる獅子鼻展望台へ。
聴きしに勝ると言いたいが、細い峰歩きの状態である。
しかしその先には、飛騨泣き、石の墓場と言われる滝谷がある。
とても無理、やはり天狗原経由が無難なコース。
5日目の8月2日、朝4時15分に小屋を出る。
朝食は弁当で、天狗原で逆さ槍を見ながら食べるつもりである。
昨日、今日の昼食も申し込んだのだが、衛生上の関係で断られた。
南岳で、カメラをセットしながら、ご夫婦と話をしていると雷鳥がやって来た、
もちろんシャッターを切ったが失敗した。
槍・朝景 |
槍ヶ岳方面にレンズを向けると、この奥様がシルエットに・・
ご主人にお願いして奥様の隣に立って頂いた。 いい写真が写せた。
ご来光を写し、天狗原分岐(上の)から天狗原へ下る。
しかしこの下りは長く難しかった。
ハシゴと鎖場があるのは、地図上で確認はしてあったが、こんなに長いとは・・・。
抜けるまでに1時間以上掛かっている。
さらに天狗池まで20分、 逆さ槍が・・・。
ここで朝食、先日天辺に立った、槍ヶ岳の雄大さと、見事な逆さ槍を・・・
朝食のおかずに、今回の山旅の中で最高の場所での食事。
逆さ槍を写し終えて、天狗原分岐(下の)経て槍沢ロッジに着いたのが、
10時50分、計画より約1時間早い、夕方までに明神まで歩けそうなので、
嘉門次小屋に連絡しOKを貰い30分の休憩で歩き始めたが、
足が重たく思うような歩きが出来ない。
17時前に、ようやく嘉門次小屋に到着、このときの風呂は最高の癒し。
そして、祝いに岩魚の塩焼きを1尾追加。
6日目の、8月3日明神池に撮影に・・・。
2日目の7月30日は、ガスが多くて絵にならなかったが、
今日は適度にガスっていて、最高の絵になった。
余裕を持って、帰阪の途に付いた。
これで2座目の穂高に向けて、自信が出来、また準備が出来る。
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